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「死のブルースクリーン」を引き起こした CrowdStrike の大規模障害: 10億ドルの被害が物語るバックアップ & リカバリーシステムの重要性

作成者: Allxonトップストーリーズ|Sep 12, 2024 8:39:34 AM

今回のインシデントはバックアップシステムの重要性についての警鐘を産業界に鳴らしただけでなく、OS に障害が発生するとソフトウェアソリューションも利用不能に陥ることを実証しました。そのため、今後のデバイスリモート管理ソリューションに関しては、サイバーレジリエンスの徹底強化のために修復とシステム復旧をサブシステムに依存する傾向が強まる可能性があると考えられます。

 

システム復旧のため、数千名のエンジニアが現場出張を強いられた

 

CrowdStrike は世界第 2 位のエンドポイントセキュリティソフトウェアのプロバイダーであり、NASDAQ 上場企業です。Fortune 100 企業のうち 62 社にクラウドセキュリティプロバイダーとして選ばれ、世界約 30,000 社の顧客にサービスを提供しています。今回の大規模障害を引き起こしたシステムは同社の主力製品である Falcon です。

包括的な保護を提供するため、アンチウイルスソフトウェアの構築では OS 下層を土台とする必要があります。更新失敗によって OS 全体が延々と再起動を繰り返す状態に陥り、デバイスから OS へのアクセスが不可能になったのは、これが原因です。その結果、世界で 800 万台を超えるデバイスが数時間にわたって機能を停止し、航空、金融、小売、医療、交通など様々な業種で業務の混乱が生じました。使用不能に陥っているデバイスは現時点で約 25 万台に達します。OS がデバイスからの操作を受け付けないため、Microsoft は 5,000 名のエンジニアを現場に派遣してデバイスの運用再開を支援することを強いられました。復旧までに幾度も再起動を試みる必要があったデバイスもあります。Microsoft の推計によると、影響を受けたデバイスアカウントは全世界のデバイスの約 1% だけですが、様々な業種を合計した損失は当初の見積もりで数十億ドルに達します。

災害復旧を高速化できる OOB リモート管理

 

近年のデジタル変革とエッジ AI の需要拡大により、業務改善に向けたデジタルテクノロジーの採用がどの業種でも避けられませんが、このプロセスは注意深く取り組む必要があります。そのため、今回のインシデントは、将来の同様の事象に備えた実用的なバックアップソリューションをより積極的に探す動機となります。ハイブリッドクラウド方式のデプロイや、様々なセキュリティベンダーが提供するバックアップサーバーの利用がソリューションの一例です。

 

はエッジ AI デバイスのリモート管理に長年力を注いできました。そのひとつが、Nuvoton 製マイクロコントローラ (MCU)「NUC980」と統合されたアウトオブバンド (OOB) 方式のソフトウェア・ハードウェア・クラウドリモート管理ソリューションです。小型の OOB ハードウェアモジュールを独立バックアップシステムとして搭載することで、大量のデバイスのリモート災害復旧が可能になります。今回の CrowdStrike インシデントと同様の事象が発生した場合も、Allxon OOB ソリューションの利用者はデバイス復旧に以下の手段を利用できます:

 

1. Allxon Cloud Serial Console: バックアップブートデバイスを搭載したデバイスと Allxon OOB を Cloud Serial Console を用いて統合済みの場合、BIOS にリモートアクセスしてブートドライブ設定を変更できます。OS へのアクセスに成功すれば、問題のあるシステムを修復可能です。


2. SSD Recovery & Backup: SSD Recovery & Backup は Apacer と共同開発した機能です。メインシステムの SSD の別パーティションにバックアップしたデータを利用し、OOB 経由でリモートシステムリカバリーを行えます。

 

ソリューションの詳細はこちら

エッジに移行するデバイスは今後増加する予測。Allxon はソフトウェア・ハードウェア・クラウドサービスに関する能力を持ち合わせます

 

空港などの場所でリアルタイムに情報を提供するにはデジタルサイネージが非常に重要な役割を果たすことを認識しているお客様は、欧州各地の空港売店のデジタルサイネージに Allxon OOB を実装しています。現在エッジ AI 市場は拡大を続けており、今後 10 年で今の数百億ドル規模から数千億ドル規模に成長する見込みです¹。言い換えれば、エッジに展開されるデバイスが増加し、デバイスの故障によって生じる損失が悪化するおそれがあります。弊社はソフトウェアサービス、ハードウェアサービス、クラウドサービスに関する技術的能力を活かし、エッジ AI 応用分野のソフトウェアやハードウェアのサプライヤーと緊密なパートナーシップを構築しています。今後も、様々な応用分野のシステムインテグレーター (SI) とマネージドサービスプロバイダー (MSP) を対象とした、従来以上に安全性、安定性、扱いやすさ、運用効率の高いエッジ AI ソリューションの設計を通じて、産業界の橋渡し役としての役割を果たしてまいります。

 

参考資料

1. Edge AI Market Size, Share & Industry Analysis, Fortune Business Insights